カントリーがrockできるなら、演歌もrockできるのだろうか。
なんて気障ったらしい入り方だけどこの曲はほんとうにカントリーでロックしている。
もともとサザンロックなどでもバンジョーなどのアメリカ南部独特の楽器を取り入れるだけでなく、カントリーの心、というか魂のようなものをロックの文脈に置き換えて歌っていた(と個人的には思っているけどもし大きく間違っていたらごめんなさい)と思うけど、この曲ではカントリーとロックが分かちがたくひとつの大きな河となって流れている。
最初のギターソロを聞いたときから、それは現れる。落ちていく夕日を受けて黄金色に輝く南部の草原風景。緑の木はなくほとんどすすき野のような乾いたかれた風景がそれでも美しく輝いている。「すべての美しい馬」や「大草原の小さな家」のオープニングみたいな光景だ。
それにしてもカレブ・フォロウィルの声は透き通っていてそれでいて深く遠くへ広がっていく強さがある。この声を聴くとなぜか「風とライオン」という映画のラストシーンが思い浮かぶ。
と書いてみて気づいたらライオンが共通だった。もしかしてそこがこの二つの時代も場所も離れたものを僕の頭の中で繋いでいたのかもしれない、と思い出した。
たぶん、違うと思うけど。
もしよければ夕焼けがきれいな季節、しかも紅でなく黄金色に染まる季節、11月の終わりがいいと個人的には思っている、に野外で風を受けながら聴いてほしい。
風とギターとカレブの声とどこまでも続く世界。
それはその一瞬しかない美しさだけど、確かにその一瞬にはある世界の美しさなのだから。
バック ダウン サウス(Back Down South/Kings of Leon/2010)
