ボヘミアン・ラプソディ(Bohemian Rhapsody/Queen/1975)

日本で言う“物語の祖”が「竹取物語」なら世界のミュージックビデオ、いわゆるPVの祖と言えるものがこのボヘミアン・ラプソディです。

それだけでなくそれまでのrockの常識を超えた長さ(ほぼ6分!)であり、その他に例をみない構成でも有名な曲です。
でもそんな日本初めて凄い自慢みたいな形容詞はとっぱらってとにかく、聴いてよし、観てよし、歌ってよし、そしてヘッドバックしてよしの4拍子そろった無敵のエンターテイメントソングです。

序盤の託宣風のアカペラ から始まり、本サビを歌いだしたと思ったら1フレーズ目のいきなりの独白。
『ママ、俺、人殺しちゃったよ』
お前、ほんとに殺っちゃったのかよ!と突っ込む間もなく止めの次の第2フレーズ。
『奴の頭に銃を突きつけて、引き金引いちゃったよ』
ほんとに殺っちゃってるよ!ていうかそんなことお前母親に言うなよ!!といってる間に第3フレーズ。
『ママ、人生始まったばっかなのに全部台無しにしちゃったよ』
そりゃそうだろ!と突っ込み続けるのも疲れるのでここまで。あとだいぶ意訳なのでその点はご勘弁ください。
とにかくこの後ひとしきり嘆いたあと、お待ちかねのロックパートで爆発。
そしてまた最後は諦念の彼方に消えていくというそれはもうカタルシス満開の展開なのです。

90年代のコメディー界を凄い勢いで荒らしまわっていたマイク・マイヤーズの出世作「ウェインズ・ワールド」 でもこの曲のカタルシスが見事に表されています。
友達と車に乗るマイク・マイヤーズ。おもむろに取り出されるボヘミアン・ラプソディのカセットテープ。カセットは車のデッキに吸い込まれ、合唱、そしてサビでのヘッドバッキング。これとまったく同じ経験をした人も多いのではないでしょうか。
そういう私もやりました、はい。
もっともその時はカセットでなく既にCDでしたが。

いま時代はさらに飛び越えてDVDかipod(さらにこの時からだいぶん時間を経た”今”やデータ配信が当たり前に!)になっていますけどね、いやはや。
とにかく この曲を一番よく聴く方法のひとつであることは間違いありません。
もしよければあなたも晴れた天気の日か、夜空がきれいな星の日か、車に乗ってスイッチを入れてみませんか。そして思いっきり歌い、ヘッドバッキングしこの歌のよさを思う存分味わってください、ハンドルを持っていない場合は。